前著『上海独酌』新人物往来社(04)は歌集(+小説1編)でしたが、今回は小説――祥子という女性を主人公とする連作集です。全5編。
その第一話「秋桜」の書き出し――
>店頭にその花を見たような気がして、祥子は自転車を停めた。
おお、いいですねえ。
眉村さんの文章を読んで、何度も「かっこいい」と感じたものですが、この書き出しも実にかっこいい。私なんか、逆立ちしてもこんな文章は書けません。
読むのが楽しみです。


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こういうタイプの小説はふだんあまり読むことはなく、どうなのかなと思っていたのですが、楽しく読み進んでいます。どこか懐かしい……。――と思いを巡らして、はたと思ったのが1970年代、80年代(トレンディドラマが流行る前)に好んで観ていたテレビドラマです。山田太一とか木下恵介とか……。
それに加えて、文体が魅力的なんですよね。すっと目から心にはいってくる。
さて、続きを読みましょう。
お酒愛が溢れておりますな(笑)。
主人公(祥子)の過去が徐々に明らかになってきました。さあ、最終話「さくら」ではどのような締めくくりに?
小さな飲み屋「ロングスプリング」を中心に展開される小さな人間ドラマ。こんなシーンで大団円を迎えるとは想像していませんでした。いくつかのハッピーエンド(特に印象深いのは、主人公の伯母さん!)が組み合わさった、いい終わり方ですね。店名「ロングスプリング」の由来も明らかに。
読後感、すっきりです。