え~と。タイトルは「氷になった男」だったかなあ。どの短編集に収録されていたっけ? 確か雑誌で読んだなあ。「奇想天外」だったような気がするけど、自信ないなあ。
あれから3日が経ち、まだ気になったままなので、ちょっと調べてみました。
お、タイトルは間違ってないみたいだぞ。ふむふむ、『建売住宅温泉峡』文藝春秋(77)/文春文庫(81)に収録ですか。文庫は持っていませんが、単行本はあります。書棚から取り出し、初出チェック。
おお、「小説マガジン」でしたか。懐かしい! 確か6号くらいまで出たんだっけな。すっごく面白い雑誌で、毎号、隅から隅まで読んでいました。



そこから連想ゲーム的に――
そういえば、フィリップ・ロス『乳房になった男』なんてのもあったなあ。
書棚から(手近にある)『乳房になった男』集英社文庫(78)を取り出しました。私が読んだのは集英社・現代の世界文学(74)でして、この文庫は数年前、ブックオフで見かけて、懐かしくて購入したものです。当然、と言うべきか、買っただけでそのまま放置(苦笑)。
目次を見ますと――
ありゃ? 短編集? 6編も収録されてるぞ。
むかし読んだ本は短編集ではなくて、短いながらも長編というイメージが残っているのですが、いやいや、そんな記憶は当てになりません。ブログを書き始めてから過去に思いを巡らす機会が増え、いかに自分の記憶が信用できないか、いかに捏造しまくっているか、痛感しているのです。この本は発売(1974年)から間もなく読んだと思いますから、40年前。はたして40年前の記憶は正しいのか……?
単行本を取り出して確認しますと、収録されているのは『乳房になった男』だけでした。大きな活字で、小説本文は130ページほどです(文庫本では約80ページ。長めの短編ですね)。記憶捏造してなかった~。ほっ(笑)。
気がついても特に役に立つわけではないし、気がつかなくても困りませんけれど、こういう発見って、ミョーに嬉しいんですよね。書誌好きの方にはわかっていただけると思います。
ちなみに私、フィリップ・ロスの作品で読んだのは、この『乳房になった男』だけと思います。こんなの好きですねえ(笑)。

『乳房になった男』集英社・現代の世界文学(74)の帯より――
自分の書いたものですら捏造してしまいますから、他人の作品となれば……(笑)。