「持ってるかも、と思いつつ買って帰宅して確認したら持っていたけど、ちょっと違った」ということは、たまにあります。ことに物資に乏しかった戦時中&戦後に出版された本ですね。今日買ったエドガア・アラン・ポオ『早過ぎた埋葬』は1946年(昭和21年)発行ですし、拙ブログで採り上げた本では、たとえば堀口大學編訳『毛蟲の舞踏會』は1943年(昭和18年)発行です。
ほかには……と書棚を見回し、マルキ・ド・サド『ふらんす浮世草紙』若草書房(昭和23年/1948年)を手に取りました。
ともあれ下の画像をご覧ください。先に買ったのは右側の本(再版)です。その後、古書市で左側の本(初版)を見かけ、持っているような気がするけど違うかもしれないと思って購入。帰宅して確認すると、同じ本を持ってはいましたが、だいぶ違いました。
表紙デザインの違いはさほど大きくないものの、本の厚さが全く違ったのですよ。初版は再版の1.5倍くらいの厚さがあるでしょうか。作品の異同があるわけでもないのにページ数は同じ。要するに紙質が違うのです。いやまあ、こういうのは同じ本ではなく、別の本と見なしてもいいんですよね。――と、誰にともなく同意を求めてみたりする(笑)。
この本にはサドのコントが15編収録(ほとんどは極めて短い)されています。従来のサドのイメージとは違った世界が展開されていて、私には新鮮でした。
『ふらんす浮世草紙 サドの知られざる憤怒の滑稽譚』論創社・謎の訳者の古典ポルノ(04)として再刊されていますので、容易に読めると思います。興味のある方はどうぞ。

