2010年05月23日

「SF幼年期と神戸」レポート

 神戸文学館で催されている「SF幼年期と神戸」展を見てきました。

 JR灘駅を降りて山側に歩いていくと、洒落た建物が目に飛び込んできます。
神戸文学館・遠景.JPG 神戸文学館.JPG
 神戸に住んでいたころには、しょっちゅう近くを通っていましたが、じっくりと眺めるのは初めてです(笑)。 館内にはいると――
入り口.JPG SF展・全景.JPG
 右の写真はSF展のほぼ全景です。意外にこぢんまりとした展示でした。
 左の写真の右端に一部が写っているのは「SF年表」です。それを眺めていたら、あらら……。
SF年表(1962年).JPG
 実は、事前に「SF年表」の下原稿を見せていただいていました。問題点があれば指摘を、ということでしたので――
・今日泊亜蘭『刈り得ざる種』は「宇宙塵」連載時のタイトルで、1962年刊の単行本のタイトルは『光の塔―刈り得ざる種―』。(下に書影。今日泊さんのサイン入りです)
・星新一『人造美人』の刊行は1962年ではなく、1961年。
 など、関係者に伝えたのですが、主催者には伝わっていなかったようです。何だかもやもやしました。
光の塔.jpg サイン.jpg
 パネルには星新一さんの姿もありました。神戸ゆかりの作家ではありませんけれど、SF幼年期を語るには欠かせませんね。(文学館入り口には「星新一展」のチラシも置かれていました。世田谷文学館に行けない方は、神戸文学館に足をお運びください)
星新一1.JPG 星新一2.JPG 星新一3.JPG
 右端のパネルの裏にも展示があります。自由閲覧の本も並んでいて、おっ、拙著『うるさい宇宙船』も……。
パネル裏.JPG 自由閲覧.JPG
 その他、写真を撮りまくったのですが、これから行かれる方の興を削いではいけませんので、これくらいにしておくことにします。生原稿や写真、それに珍しい本や雑誌など、たくさんありましたよ。常設展には稲垣足穂や横溝正史の生原稿が展示されていて、こちらも必見。
 充分に楽しんで、神戸文学館をあとにしたのですが……。
 いやいや、堀晃さんとニアミスしていたとは驚きましたね。(堀さんの日記参照)
 以下、堀さんの日記にレスをつける形で――
> 入口で記帳しようとしてびっくり。
> 本日の来館者「芳名録」のいちばん上に「名古屋市 高井信」とあるではないか。
> おれは5番目。
 当日、私が一番乗りでした。展示を見ているとき、ご夫婦と思われる2人づれ、そして女性1名が来られました。ここまでで4人ですから、堀さんはその次ですね。
> 会場を見回すが、信ちゃんの姿はない。メール入れてみたら「夕刻まで神戸で某講座」と
>いうことである。
> 早めに来て見ていったらしく、30分くらいのすれ違いらしい。
 お目にかかれず、残念でした。知っていれば、堀さんの来館時刻に合わせたのですが。
> (決して嫌みでいうわけではないが)おれにいってくれれば、もう少し「幼年期」の
>展示物を出せたのに。
 堀さんほどではありませんけれど、うちにもいろいろあります。
 いちおう協力依頼は受けていて、「必要なものがあれば言ってください。うちにあれば提供します」と答えています。しかし依頼は一切なく、唯一提供した星新一『生命のふしぎ』は私から提案したものでした。
> たとえば、旧NULLは3号1冊だけ。おれはもっと持ってるよ。
 これは残念というか、驚きました。うちにも5冊ありますが、主催者のほうで用意できると聞いていたのです。ほんと、要請していただければ……。ここに書影をアップしておきましょう。
NULL2.jpg NULL3.jpg NULL4.jpg NULL5.jpg NULL6.jpg
> 同人誌もOKなら60年代末に出した「パラノイア」(発行は御影の田路氏で神戸である)
>もあるし。
「パラノイア」については、3月25日の記事に書きました。関係者の何人かは拙ブログを読んでいるはずですが、提供要請はありませんでした。不要と判断されたのでしょうか。
 う~~~ん。もうちょっと積極的に私のほうから働きかければよかったかも……。
 すみませんでした。>堀さん
posted by 高井 信 at 12:44| Comment(5) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
堀さんの日記や、このブログを見て、「関係者」として、少々反省しております。
この企画、以前、この文学館で探偵小説展をやったおり中心になって企画した、畸人境代表の野村恒彦氏が中心で、他に、私、西秋生氏、大熊俊宏氏、岡本俊弥氏らが、かんでおりました。
岡本氏は神戸から遠く(シンコン関係、神戸大SF研関係は彼の提供でしょう)
大熊氏も神戸から遠く、西氏は講師という立場ですし、野村氏は探偵小説の人で、このブログをご覧にはなっていないでしょう。
結局、神戸在住(東灘区)のSF者で、このブログを見ていて、星群会会員でファンダムに比較的近い立場の私が、もっと積極的に動いていたら、少しは違ったものになったと、思われます。私の個人的な反省ですが、「神戸」ということに、こだわりすぎたのではないでしょうか。
いっちょかみした者の言い訳でもあります。
Posted by 雫石鉄也 at 2010年05月23日 17:05
雫石さんが名前を挙げられた方々は皆、私よりも年長ですから、ああいったファンジンはどなたかがお持ちなのであろうと思っていました。
 問題は、中心となる方が探偵小説ファンということでしょうね。こういう企画はSFファンが中心で進めなければ。探偵小説のファンでは無理ですよ(苦笑)。
 でもまあ、一般のSFファンは充分に満足できる展示と思います。堀さんは別格です(笑)。
Posted by 高井 信 at 2010年05月23日 18:24
高井さん
「芳名録」を見たときはびっくりしましたよ。
あと、西へ異人館あたりまで歩きましたが、震災前までのお住まいが近くでしたね。懐かしく思い出しました。

雫石さん
ぼくの意見はマニア的すぎで、高井さんのいう通り、展示としては面白いと思いますよ。
ただ学芸員?(か、それに相当する人)のレベルは低いですね。常設展も見ましたが、神戸ゆかりの作家の本と生原稿などの羅列で、風土と作品とのかかわりへの切り込みが浅いと思いました。ここだけの話ですけど。といっても全世界に公言しているのと同じだけど。
Posted by 堀 晃 at 2010年05月23日 21:44
私も、ケータイに堀さんからのメールが着信したときは、びっくりしました。こんな偶然ってあるんですね。
 会場でばったり! なんてことになっていたら、展示物を見ながら、「あーでもない」「こーでもない」と(笑)。
 楽しかったでしょうねえ。そう思うと、無性に残念です。
Posted by 高井 信 at 2010年05月24日 05:12
今週の「直木賞のすべて」は、今日泊亜蘭(水島多楼)先生の「河太郎帰化」が候補になった、第39回(昭和33年上)直木賞のドタバタのようです。
http://naokiaward.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/3933195876-c268.html )
 私は、この時に受賞になった、山崎豊子先生の「花のれん」が好きです。
 笑える作品が好きです。
 同じ回の芥川賞では、山川方夫先生の「演技の果て」も候補になっています。
Posted by 橘まるみ at 2011年07月24日 23:49
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