JR灘駅を降りて山側に歩いていくと、洒落た建物が目に飛び込んできます。
神戸に住んでいたころには、しょっちゅう近くを通っていましたが、じっくりと眺めるのは初めてです(笑)。 館内にはいると――
右の写真はSF展のほぼ全景です。意外にこぢんまりとした展示でした。
左の写真の右端に一部が写っているのは「SF年表」です。それを眺めていたら、あらら……。
実は、事前に「SF年表」の下原稿を見せていただいていました。問題点があれば指摘を、ということでしたので――
・今日泊亜蘭『刈り得ざる種』は「宇宙塵」連載時のタイトルで、1962年刊の単行本のタイトルは『光の塔―刈り得ざる種―』。(下に書影。今日泊さんのサイン入りです)
・星新一『人造美人』の刊行は1962年ではなく、1961年。
など、関係者に伝えたのですが、主催者には伝わっていなかったようです。何だかもやもやしました。


パネルには星新一さんの姿もありました。神戸ゆかりの作家ではありませんけれど、SF幼年期を語るには欠かせませんね。(文学館入り口には「星新一展」のチラシも置かれていました。世田谷文学館に行けない方は、神戸文学館に足をお運びください)
右端のパネルの裏にも展示があります。自由閲覧の本も並んでいて、おっ、拙著『うるさい宇宙船』も……。
その他、写真を撮りまくったのですが、これから行かれる方の興を削いではいけませんので、これくらいにしておくことにします。生原稿や写真、それに珍しい本や雑誌など、たくさんありましたよ。常設展には稲垣足穂や横溝正史の生原稿が展示されていて、こちらも必見。
充分に楽しんで、神戸文学館をあとにしたのですが……。
いやいや、堀晃さんとニアミスしていたとは驚きましたね。(堀さんの日記参照)
以下、堀さんの日記にレスをつける形で――
> 入口で記帳しようとしてびっくり。
> 本日の来館者「芳名録」のいちばん上に「名古屋市 高井信」とあるではないか。
> おれは5番目。
当日、私が一番乗りでした。展示を見ているとき、ご夫婦と思われる2人づれ、そして女性1名が来られました。ここまでで4人ですから、堀さんはその次ですね。
> 会場を見回すが、信ちゃんの姿はない。メール入れてみたら「夕刻まで神戸で某講座」と
>いうことである。
> 早めに来て見ていったらしく、30分くらいのすれ違いらしい。
お目にかかれず、残念でした。知っていれば、堀さんの来館時刻に合わせたのですが。
> (決して嫌みでいうわけではないが)おれにいってくれれば、もう少し「幼年期」の
>展示物を出せたのに。
堀さんほどではありませんけれど、うちにもいろいろあります。
いちおう協力依頼は受けていて、「必要なものがあれば言ってください。うちにあれば提供します」と答えています。しかし依頼は一切なく、唯一提供した星新一『生命のふしぎ』は私から提案したものでした。
> たとえば、旧NULLは3号1冊だけ。おれはもっと持ってるよ。
これは残念というか、驚きました。うちにも5冊ありますが、主催者のほうで用意できると聞いていたのです。ほんと、要請していただければ……。ここに書影をアップしておきましょう。





> 同人誌もOKなら60年代末に出した「パラノイア」(発行は御影の田路氏で神戸である)
>もあるし。
「パラノイア」については、3月25日の記事に書きました。関係者の何人かは拙ブログを読んでいるはずですが、提供要請はありませんでした。不要と判断されたのでしょうか。
う~~~ん。もうちょっと積極的に私のほうから働きかければよかったかも……。
すみませんでした。>堀さん
この企画、以前、この文学館で探偵小説展をやったおり中心になって企画した、畸人境代表の野村恒彦氏が中心で、他に、私、西秋生氏、大熊俊宏氏、岡本俊弥氏らが、かんでおりました。
岡本氏は神戸から遠く(シンコン関係、神戸大SF研関係は彼の提供でしょう)
大熊氏も神戸から遠く、西氏は講師という立場ですし、野村氏は探偵小説の人で、このブログをご覧にはなっていないでしょう。
結局、神戸在住(東灘区)のSF者で、このブログを見ていて、星群会会員でファンダムに比較的近い立場の私が、もっと積極的に動いていたら、少しは違ったものになったと、思われます。私の個人的な反省ですが、「神戸」ということに、こだわりすぎたのではないでしょうか。
いっちょかみした者の言い訳でもあります。
問題は、中心となる方が探偵小説ファンということでしょうね。こういう企画はSFファンが中心で進めなければ。探偵小説のファンでは無理ですよ(苦笑)。
でもまあ、一般のSFファンは充分に満足できる展示と思います。堀さんは別格です(笑)。
「芳名録」を見たときはびっくりしましたよ。
あと、西へ異人館あたりまで歩きましたが、震災前までのお住まいが近くでしたね。懐かしく思い出しました。
雫石さん
ぼくの意見はマニア的すぎで、高井さんのいう通り、展示としては面白いと思いますよ。
ただ学芸員?(か、それに相当する人)のレベルは低いですね。常設展も見ましたが、神戸ゆかりの作家の本と生原稿などの羅列で、風土と作品とのかかわりへの切り込みが浅いと思いました。ここだけの話ですけど。といっても全世界に公言しているのと同じだけど。
会場でばったり! なんてことになっていたら、展示物を見ながら、「あーでもない」「こーでもない」と(笑)。
楽しかったでしょうねえ。そう思うと、無性に残念です。
(http://naokiaward.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/3933195876-c268.html )
私は、この時に受賞になった、山崎豊子先生の「花のれん」が好きです。
笑える作品が好きです。
同じ回の芥川賞では、山川方夫先生の「演技の果て」も候補になっています。