2010年05月07日

『きなきな族からの脱出』

 昨日のロダーリ『物語あそび―開かれた物語―ですが、子どもの想像力、創造力、発想力など、柔軟な思考を育むのに最適と思います。こういう本が小学校の副教材として使われたら素晴らしいですね。(すでに使われているかもしれませんけれど)
きなきな族からの脱出.jpg『物語あそび』は「結」のない小説ですが、反対に「結」しかない小説もあります。――和田誠『きなきな族からの脱出』角川書店(81)/角川文庫(84)です。
 単行本の帯:22種類の傑作アイデア 『終章』だけの小説
 文庫の帯:コクのある、うれしい試み――「終章」だけの小説集!
 帯に書かれている通り、終章だけの小説が22編収録されています。もちろん各作品は短く、超反則ではありますけれど、ショートショート集と言えます。
きなきな族からの脱出(角川文庫).jpg 読む前には、そんなのを読んで面白いのかと思いましたが、読んでみると、これが面白かったんですね。「終章」すなわち「結」を読むだけで、実際には書かれていない「起承転」の部分までが想像できてしまうんです。しかも、作品のジャンルは多岐にわたっていて……。
 こういう試みは大好きです。

 和田誠のショートショート集については、こちらを。

倫敦巴里.jpg【追記】5月10日
 本棚を眺めていたら、和田誠『倫敦巴里』話の特集(77)が目に飛び込んできて、思わず手に取ってしまいました。パロディ満載の楽しい本です。
 読み返したくなる衝動を抑えて、ふたたび本棚へ。
 読みたい本、観たい映画が溜まっているのです。
posted by 高井 信 at 06:36| Comment(2) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私も和田誠さんのファンでイラスト集なども気がつくたびに買ってます。
和田さんの創作では、もし「雪国」を他の作家が書いたら…という
パロディが印象に残っています。
野坂昭如風とか星新一風とか。
ショートショートでは「おさる日記」(結末におもわずアッと言った)とか
「サウンド・オブ・ミュージック」(ばかばかしくて。これほめ言葉です)が
大好きです。
Posted by 山本孝一 at 2010年05月08日 18:54
「おさる日記」は超傑作と思います。何回読んだことか。
「サウンド・オブ・ミュージック」は、ほんと、ばかばかしい(笑)。こういうのもいいですねえ。
 イラストレーターさんにこんなのを書かれると、参っちゃいます。
Posted by 高井 信 at 2010年05月09日 09:04
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