妖しの作家・井之妖彦を主人公とする連作短編シリーズの4冊目です。既刊の3冊は――
『怪奇無尽講』双葉社(05)
『「超」怖い物語 黒い本』竹書房文庫(07)
『「超」怖い物語 黒い本2』竹書房文庫(08)
『黒い本』2冊には、ショートショートと言える長さの作品が多く収録されていましたが、今回の収録作品は全体的に長めになっています。その点が残念と言えなくもないですけれど、まあ、そんなことにこだわるのは私くらいのものでしょう。
『怪奇無尽講』では、目次を見た途端に「抱いたら墓地」なんてタイトルが目に飛び込んできて、その時点で完敗しました。本格的なシリーズ化が始まった『黒い本』では、いきなり“マッチ売りのおかま”にツボを直撃され、一気に最後まで読んでしまったことを思い出します。その直後に飯野さんと会う機会があって、酒を飲み……。相変わらずの飯野さん(←わかる人にはわかりますよね)を満喫させてもらいました。
どんどん妖怪化、というか変態化していく飯野文彦――じゃなかった、井之妖彦。今作では、はたしてどこまで行くのでしょうか。