最新の201号(2008年6月発行)を手に取ってみました。「ワールドコン特集」と「宇宙塵アーカイヴス」の2本立てで、どちらも読み応えがあるのですが、私にとって最も印象に残っているのは、最終ページに記載されている戸倉正三の訃報でした。ショートショートの大先輩に――合掌。
さて。
「宇宙塵」は日本ショートショートの歴史を考える上でも非常に重要な存在です。関連書を紹介しておきましょう。
まずは傑作選です。「宇宙塵」は同人誌でありながら、商業出版で3度も傑作選が編まれているのです。
石川喬司・柴野拓美編『日本SF・原点への招待Ⅰ 「宇宙塵」傑作選』講談社(77)
石川喬司・柴野拓美編『日本SF・原点への招待Ⅱ 「宇宙塵」傑作選』講談社(77)
石川喬司・柴野拓美編『日本SF・原点への招待Ⅲ 「宇宙塵」傑作選』講談社(77)
柴野拓美編『破局のおすすめ 新「宇宙塵」SF傑作選Ⅰ』河出文庫(87)
柴野拓美編『無限のささやき 新「宇宙塵」SF傑作選Ⅱ』河出文庫(87)
柴野拓美編『宇宙塵傑作選Ⅰ 日本SFの軌跡』出版芸術社(97)
柴野拓美編『宇宙塵傑作選Ⅱ 日本SFの軌跡』出版芸術社(97)
河出文庫版の傑作選には長めの作品ばかりが採録されていますが、講談社版、出版芸術社版にはショートショートも多数収録されています。機会があれば、ぜひ読んでいただきたいと思います。
「宇宙塵」の歩みを知るには、宇宙塵編『塵も積もれば 宇宙塵40年史』出版芸術社(97)、その改訂版である『いつまでも前向きに 塵も積もれば 宇宙塵40年史―改訂版―』宇宙塵(06)が最適でしょう。主宰者・柴野拓美へのインタビューは圧巻です。
また掲載作品の詳細を知るには、森東作編『宇宙塵INDEX』SFファングループ資料研究会(77)という労作があります。「宇宙塵」本誌の創刊号(1957年5月)から178号(1977年5月)まで、それとパロディ誌である「宇宙鹿」「宇宙塵紙」も含めての詳細なインデックスです。
実は……。ここで紹介するのは憚られるようなものなのですが、『宇宙塵INDEX Ⅱ』というのもあります。これ、私の編集によるものでして……。1986年、「柴野拓美 一病息災を祝う会」が開かれると聞いて、何かSFファンらしいお祝いができないかとSFファンの友人たちと相談し、結果、こんなものを作ってしまったのでした。ちなみに、対象としたのは「宇宙塵」179号(1980年8月)から185号(1984年5月)までの7冊だけで、ほとんど実用には向きません。
最後に、先ほどちらと誌名が出た「宇宙塵」のパロディ誌を紹介しておきます。
「宇宙鹿」№3(1962年11月)
「宇宙塵紙」№2(1976年3月)
「宇宙馬鹿」創刊号(1990年12月)
「宇宙鏖」12月創刊準備号 №-1(2004年12月)
1962年発行の3号に始まって、2号、創刊号、創刊準備号と、ちょうど14年ごとに発行されています。次回の発行は2018年になるのでしょうか。
いかにもSFファンらしいお遊びで、私、こういうのは大好きです。
なお、「宇宙鹿」には「ショートショートの書き方」、ぼっこ新一「ホシちゃん」なんて作品も掲載されています。