2017年07月28日

『新シミリ現象』

 饅頭本って、ご存じでしょうか。
 北原尚彦『新刊! 古本文庫』ちくま文庫(03)に――
>古本の世界には「マンジュウ本」と呼ばれる本がある。故人を偲んでまとめた、遺稿集や追悼集で、葬式の際に葬式饅頭代わりに配られたりするので、マンジュウ本と呼ばれる。一般的には非売品なので、古本の市場に流通するようになってようやく、我々の目に触れるようになる。
 とあります。でも、別に葬式饅頭ではなくても紅白饅頭(お祝いの場で配る)でもいいわけです。
 しつこいくらいに書いていますように、私、60歳――還暦になりました。正直、齢なんてとりたくないけど、避けられるものでもない。だったら、これをネタに遊んじゃおうかな。そんなことを考えて、「SFハガジン」で還暦お祝い号を企画しちゃったのは既報の通りですね。
 ご祝儀原稿をくださる方にはお返しをしたいな。森田裕さんも『日本ショートショート出版史』の特装版を作ってくれるというし……。
 で、はっと思いついたのが饅頭本です。記念に本を作って、饅頭代わりに配ろう。
 どんな本にするか。ほとんど考えずに決まりました。――60編収録のショートショート集です。(ハガジン掲載作を中心に、そのへんにあるものを適当に収録)
 タイトルもほとんど考えずに決まりました。――『新シミリ現象』です。
 私の作家人生は、高校生のときに書いたショートショート「シミリ現象」でスタートしたと言っても過言ではありません。で、還暦。新たな人生の始まりを『新シミリ現象』で。――うん、よいではないですか。(「新シミリ現象」は1年前、「SFハガジン」に発表した作品)
新シミリ現象.jpg さすがに60本収録のショートショート集を手作りするのは勘弁なので、製本直送で作ろうと思いました。問題は時間です。饅頭本発行を思いついたのは今月の初め。はたして誕生日(27日)までに完成するか。
 不安でしたが、なんとか26日に完成。おお! 届いた! と「SFハガジン」還暦お祝い号(ついでに第74号も)を発行。
 翌27日(誕生日)に発送することができたという次第です。
 饅頭本は、言ってしまえばサプライズ企画です。いきなり届いて、驚き、そして喜んでくれたらいいな、と。
 ぼちぼちと到着報告が届いていますので、ここに書くことにしました。

 以上、これにて私の還暦遊び、完結であります。私の道楽にお付き合いくださった皆さま、ありがとうございました。楽しかったです。
 今後ともよろしくお願いします。
posted by 高井 信 at 17:47| Comment(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

両角長彦

 そもそものきっかけは、この帯でした。
帯.jpg
「両角長彦は星新一である!」
 え? 何これ。
「解説(香山二三郎)」を読みますと、「両角長彦は星新一である」というフレーズがふと浮かんだのは「連作長編仕立ての各編の終わりにショートショートが付されていたからにほかならない」とのこと。え? それで?
 デビュー前にさまざまな雑誌にショートショートや短編を投稿し、数多く採用された実績もあるようですが、それにしても……。
 とにかく読んでみようと、その本『ブラッグ 無差別殺人株式会社』実業之日本社文庫(14)を購入しました。
 さっそくショートショート(7編)だけ読み――うん、面白い。でも、7編読んだだけでは、なんとも言えないなあ。
 で、調べてみますと、同趣向の本がほかにも2冊あるようです。
『便利屋サルコリ』光文社(13)/光文社文庫(15)
『ハンザキ』双葉社(14)/双葉文庫(16)
 とりあえず両方の初刊本を購入(基本的に、私が最初に買うのは初刊本です)。これまたショートショートだけ読みました。
 確かに、ショートショートを量産できそうな感じですし、一連のショートショートは評価しますけれど、ショートショート集を1冊も出していない作家に対して「両角長彦は星新一である!」ってのは、いかがなものでしょうか。
 読者の興味を惹くため、というのもありましょうが、というより、それが目的かもしれませんが、解説者の勇み足だという気がします。
ブラッグ.jpg 便利屋サルコリ.jpg ハンザキ.jpg
 ウィキペディアを見ますと――
>デビュー前のアマチュア時代に三枝蝋名義で、
 え? 三枝蝋? この名前、知ってる。どっかで会ったような気がする。
 ネット検索してみましたら、堀晃さんの日記(過去ログ→ここ)がヒットしました。
 三枝蝋さんは大阪シナリオ学校主宰「第1回ショートショート大賞」の受賞者で、1999年11月6日、その表彰式で顔を合わせていたみたいです。すっかり忘れていました。いかんなあ。
 ともあれ、両角長彦には今後も注目していきます。ショートショート集が出ることを期待。
posted by 高井 信 at 11:46| Comment(2) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする