今月2日、ネオ・ベムの歩みを回想しました(→
この記事)。
その末尾に「さて、次回のネオ・ベムは……。毎度のことながら先のことは全くの白紙です。究極の目標は『宇宙生物分類学・完全版』ですが、いつになるやら」と書きました。あの時点ではほんと、まっさらの白紙だったのですが、舌の根の乾かぬうちに新たな本を作ってしまいました。といっても純粋な新刊ではなく再刊です。
くだんの記事で――
◎『正也君再び近鉄特急に乗る』2012年3月15日発行/B5
記念すべきネオ・ベム第1弾は岡田さんの小説集。こんなのを作るのは久しぶりですし、ワープロソフトやプリンタの機能もよく理解していなかったため、両面印刷してホチキスで綴じ、背に和紙を貼りつけるだけという、情けないくらいの簡易版です。これを見ると、いまはすさまじくスキルアップしてるなあ(笑)。
と書きました。これが頭に残っていたのか、数日前にふと、『正也君~』を文庫化しようかなあと思っちゃいまして。
もう1冊の「情けないくらいの簡易版」である『愛しのベムは今何処』の大部分は『ベム AGAIN』に、残りは『タイム・マシン随想』に再録しました。『正也君~』を文庫サイズで出せば、(『ベム AGAIN』は別として)文庫本で揃います。これは嬉しい。
入力する必要はありませんから、文庫サイズ用の版下を作り、印刷&製本するだけ。まあ、製作の作業自体は(面倒は面倒だけど)半日もあれば充分でしょう。
文庫化するんなら、解説が欲しいなあ。私が書いてもいいけれど、それより……。
頭に浮かんだのは北原尚彦さんです。『正也君~』を進呈した際、嬉しい感想を寄せてくれたことを思い出したのです。それにネオ・ベム広報担当(笑)でありながら、まだ一度もご寄稿いただいてないですし(笑)。
「これこれこういうわけで……」
「え? 私が書けば文庫になるんですか?」←文庫フェチ(笑)
「そうです」
「書きます書きます」
あっという間に原稿が届き、これがまた、短期間で書いたとは思えないほど充実した内容。さっそく印刷・製本しました(例によって文庫版と軽装版)。当初はオリジナルのままの書名で出そうと思っていたのですが、表紙絵の関係で、『あの星の下で』と改題しました。――単行本から2年半経って文庫化、解説の書き下ろしって、まるで商業出版みたいですね(笑)。
商業出版みたいと言いつつ、部数は相変わらず――いや今回、これまでよりも発行部数を抑えています。というのも、私の勝手な推測ですけれど、岡田さん、若いころに書いた小説(最も古い作品は52年前!)を読まれるのは非常に恥ずかしがるのではないか、と。本書を手にした岡田さんの照れ臭そうなお顔が浮かんじゃって浮かんじゃって。――私と解説の北原さん、それにご遺族。3部限定にしようか、なんて考えも浮かびましたが、さすがにそれは……。
考えた結果、発行部数を減らし、進呈するのはネオ・ベム関係者だけとしました。ご了承いただきますよう。

今年3月、2年近くの休眠期間を経て活動を再開したネオ・ベムは以前とは違って、いろいろな方々にご寄稿たまわるようになりました。
『SF雑誌99の謎』には解説・森田裕さん、エッセイ・山本孝一さん、帯・中村融さん。
『エスペラントSF入門』には解説・森下一仁さん、帯・石原藤夫さん。
『ジンテン1★図録』にはエッセイ・石原藤夫さん、森下一仁さん、山本孝一さん。
今回の『あの星の下で』には解説・北原尚彦さん。
ほかにも、森東作さんには『ジンテン1★図録』でファンジンの書影を提供していただきました。
ネオ・ベムの活動もそろそろ終わりが見えてきました。あとは、エッセイの拾遺集が出せるかどうか(それだけの枚数が集まるかどうか)、そして、ずーっと出したいと言っている『宇宙生物分類学・完全版』くらいと思います。
無事にフィナーレを迎えるまで、どうぞよろしくお願いします。