私が映画監督・鈴木則文の名前を意識したのは何年前でしたか。山本孝一さんに2本の映画――『徳川セックス禁止令 色情大名』と『エロ将軍と二十一人の愛妾』を勧められ、よくわからないままに鑑賞したところ、これが異様に面白かったのですね。ポルノということですが、欲情を催すとか、そんなことは全くなく、ただただ笑える映画でした。艶笑喜劇と言うべきでしょうね。
こんな世界があったのか~。知らなかったぞ~。好きだ。だ~い好きだ!
「こういうの、もっと観たい。お勧めを教えて」
『不良姐御伝 猪鹿お蝶』『やさぐれ姐御伝 総括リンチ』を観て、早くも泥沼へ(笑)。もともと凝り性の私は「鈴木則文」をキーワードに、手当たり次第に、その手の邦画(おもに1970年代。大作ではなく、B級映画)を観始めました。
しかし、手当たり次第では、すぐに限界が来ます。杉作J太郎・植地毅編著『東映ピンキー・バイオレンス浪漫アルバム』徳間書店(99)を購入。この本を参考に、次から次へと。鈴木則文だけではなく石井輝男ほかの作品も観まくりましたねえ。そういえば梶芽衣子にもハマりました。『さそり』はもちろん、『修羅雪姫』や『銀蝶渡り鳥』のシリーズ……。
数年であらかた観尽くし、そこから派生して、1960年代、70年代の邦画――それまで私の映画鑑賞歴からすっぽり抜けていた作品群も観始めます。これがまた、面白い映画が目白押し。邦画を食わず嫌いしていた自分を叱責し、大いに反省したものです。
昨年11月、書店で『鮮烈! アナーキー日本映画史1959-1979』洋泉社MOOK・映画秘宝ex(12)を見かけ、「うほほ~」と購入。鈴木則文を知るまででしたら、気にも留めずにスルーしたに違いない本です。採り上げられている映画のうち、かなりの作品を観ていることがわかり、われながらびっくり。もちろん観てない映画もあり、積極的に観るようになるわけです。



ということで、『東映ゲリラ戦記』です。
この本、まずは1971年、『温泉みみず芸者』に始まります。
もちろん私は何年か前に鑑賞済みです。これぞまさに艶笑喜劇。いやあ、楽しかったですねえ。
へえ、この映画で初めて「ポルノ」という言葉が使われたのか。手垢にまみれた「ピンク」や「セクシー」なんて古臭いと考え、「ポルノ」にしたそうで、このあたり、「コント」と「ショートショート」の関係に似ているなあ。
ど新人の池玲子を主役に抜擢。それで、池玲子がポルノ女優第1号と言われているのか。ピンク女優やセクシー女優とは違うわけですな。
え? 池玲子、このとき16歳? ウッソー!
とまあ、冒頭から私の心は鷲掴みされます。(このあたり、もしかしたら『東映ピンキー・バイオレンス浪漫アルバム』にも書かれていたかもしれませんが、当時、映画のカタログとして読んでいましたので、そういった情報は目がスルー)
昨日の記事にも書きましたように、私は『東映ゲリラ戦記』の目次で挙げられている作品のほとんどが鑑賞済みです。そういう目で読むと、その舞台裏がよくわかります。
池玲子と杉本美樹がなぜ2枚看板になったのか。サンドラ・ジュリアンやクリスチーナ・リンドバーグ出演の効果は? アクション路線へ変更の経緯は? などなど。――その楽しさときたら、言葉では言い表せません。
いやほんと、面白かったです。