昨日の記事で星新一ショートショート・コンテスト(第1回)入選者の方々に思いを馳せました。
SF専門誌「奇想天外」では入選者たちの新作を積極的に掲載しています。入選者たち(10人)の「奇想天外」登場号を調査してみました。
二宮由紀子 79/10 79/11 80/3 80/5 80/11(2編) 81/2
藤井青銅 79/10 80/5 80/8

大和隆 79/10 80/3
吉沢景介 79/10
遠海治子 79/10 80/6 80/8 80/12(2編)
俣野しづ子 79/10 80/2
佐々木清隆 79/10 80/4 81/7
気駕まり 79/10
西山浩一 79/10 80/2
高原愛 なし
一目瞭然、最も活躍しているのは二宮由紀子さんです。
ちなみに、私は――79/12(2編) 80/2 80/3 80/5 80/6 80/8 80/9 80/12 81/1 81/2 81/5 81/8。なんと3回もご一緒しており、となれば意識してしまうのが当然でしょう。
このままショートショートを書き続けてくれるのかなあと期待していたのですが、次に知った二宮さんは童話作家でした。数多くの童話を発表され、私も何冊か読んでいます。独特の感覚は大人が読んでも楽しめるのではないかと思います。
今回、その二宮さんの処女出版『あはあけぼの団地のあ』国土社(84)を手に取りました。タイトルからして嬉しいですね。――といっても、ブラッドベリとは関係ないですが(笑)。
小学3年生の男子視点で、50音それぞれを頭文字とする事柄を50音順に採り上げ、断片的に綴っています。「あ、はあけぼの団地のあ」に始まり、「ん。これがおしまいの字だ」まで。最初は日常風景のスケッチなのですが、「よ」から様子が変わってきて……。これは主人公の成長を表わしているのでしょうか。(下の画像は「さくいん」です。画像クリックで拡大表示されます)

あ、いや、内容のことを書こうと思ったわけではないのでした。
「痕跡本」というものが密かなブームになっているようです。古本を買うと落書きがあったり紙片が挟まっていたり……よくありますよね。そういった痕跡から本の背後に流れる物語を推測&想像するのを楽しんでいる人もいるのです。
基本的に、私は受け入れられません。特に落書きですね。紙片は有益なら残しておけばいいし不要なら捨てればいいだけの話なので問題ない、というか、嬉しい場合が多いですが、落書きは困ります。そんな本は古本屋は買ってはいけないし、もし間違えて買ってしまったとしても、売ってはいけないと思います。少なくとも、その旨を目立つところに明記しておくべき。――いやもちろん、ものすごくレアな本で、ものすごく欲しい場合は落書きがあっても買ってしまうのですけれど……(苦笑)。
さて、『あはあけぼの団地のあ』です。この本には、とびっきり嬉しい痕跡がありました。なんと、作者から友人作家への手紙(便箋1枚)が! 明らかに、この本を贈る際に添えたものです。
古本屋で買った本に謹呈の紙片が挟まれていることはしばしばあります。私も商売柄、ちょくちょく謹呈本を送っていただきます。今のところ、私はまだ手放していませんが、いずれは処分しなければならないときが来るでしょう。置き場所という深刻な問題がありますから、いただいた本を売るなとは言いません。しかし、せめてそういった「痕跡」は取り除くべきではないでしょうか。
とは思うものの、買った古本に作者から他作家への手紙が挟まれていると、ものすごく得した気分になってしまいますねえ(苦笑)。にまにま。
ちなみに私、本を贈る際には極力、添え状を書かないようにしております。