
ウサギの呪いだか祟りだか、主人公は徐々にウサギ化していきます。目が赤くなり、生野菜をむさぼり、声が出せなくなり……。ホラー映画なんですが、ゾンビでもなく巨大でもなく集団でもないウサギが襲ってきても、ぜーんぜん怖くないですねえ。まあ、雰囲気は楽しかったです。
で、はたと大昔に書いたショートショート(と言えるか?)を思い出しました。
え~、ここにアップしちゃいます。もちろん未発表です。
ウサギ
寝不足だった。
厭な夢にうなされ、なかなか眠れなかったのだ。
「ふあーあ」
大きく伸びをしてベッドから降り、洗面所に向かう。
「もう、朝だもんな。眠い眠い」
ぶつぶつと愚痴をこぼしながら、鏡を覗きこむと、
「あ!」
思わず声が出てしまった。眼が充血して、真っ赤になっていたのだ。
「ははははは……」
それを指さして、笑った。
「ウサギだ、ウサギだ」
ぴょんぴょん、と跳びはねた。
「あはははは……。ウサギ、ウサギ」
部屋の中を跳び回り、時折、確認のために鏡を覗きこむ。
「あれ?」
何度目かで鏡を覗いた時、おかしなことに気がついた。――耳が、ピンと直立して、上に向かって伸びている!
「あはは」
大声で指さして、笑った。
「ウサギだ、ウサギだ」
ぴょんぴょん跳ねる。
そして数分後、おれはホントのウサギになっていた。