同じころ、新東宝でも盛んに特撮映画――おもに怪談映画を作っていたのですが、これまであまり観る機会がありませんでした。記憶にあるのは『東海道四谷怪談』『怪談累が渕』『亡霊怪猫屋敷』『怪猫お玉が池』くらいでしょうか。
正月、新東宝の映画『女吸血鬼』と『花嫁吸血魔』を観ました。
2作とも面白かったですねえ。独特の味わいというか癖というか、東宝の特撮映画とは明らかに違っています。
『女吸血鬼』は、そのタイトルに反して女吸血鬼は出てきません。出てくるのは、月の光を浴びると変身する、まるで狼男みたいな男吸血鬼(笑)。現代を舞台にしているのですが、現代といっても半世紀前の現代でして……。「カックンよ」なんて、子どものころに聞いたことがあるような、ないようなセリフもあり、笑みを浮かべてしまいました。
『花嫁吸血魔』は明らかにデュマ『モンテ・クリスト伯(巌窟王)』を下敷きにしていて、その点でも楽しめました。怪談映画ではありませんが、やはり新東宝の『女巌窟王』は観たことがあります。『女巌窟王』よりも『花嫁吸血魔』のほうがずっと『巌窟王』(笑)。

ということで、山田誠二『幻の怪談映画を追って』洋泉社(97)を手に取りました。だいぶ前に読み、面白そうな映画が多いなあと思いつつ、実際に観る機会がないまま過ごしていました。
改めて、巻末の「大藏貢の製作した怪談映画全部解説」を眺めると、観たい映画が目白押しです。
お楽しみはこれからだ~(嬉)。