フランス小咄集は数多く出版されていて、すべてをチェックしようなんて思っていませんが、長めのものが多く収録されている本は、できる限り入手しておきたいと考えています。
たとえば、夏目悌介『ふらんす 風流ざんげろく』高文社(57)です。小咄集ではありますが、全体的に長めで、なかには5ページにわたる小咄(?)も収録されています。
買ったばかりの本でして、いま、つまみ読みをしている最中です。ふだんなら、こういう本を買ってもブログに書こうとは思わないんですが、楽しい発見がありましたので、書くことにしました。
ほんと、ついさっきのことです。「アダムの失踪」という小咄を目にして、思わず「おっ」と小さな声を漏らしました。
ちょっと前、やはりフランス小咄集の杉戸一郎編『えれがんと えろざんす2』六興出版部(58)という本を買ったんですが、それに収録されている「天国のホームズ」とそっくりなんですよ。まあ、同じような小咄が別の小咄集に収録されているからって、驚くことではありません。しかし……。
実は、この小咄には元になる小説(ショートショート)があるんです。――医学博士ローガン・クレンデニング「アダムとイヴ失踪事件」という作品で、エラリー・クイーン編『ミニ・ミステリ傑作選』創元推理文庫(75)に収録されています。(これは北原尚彦さんに教えてもらいました。さすが、シャーロキアン!)
「アダムの失踪」と「天国のホームズ」は、いずれも原作にアレンジが加えられていますけれど、「アダムとイヴ失踪事件」が元ネタであることは明らかです。(念のために書いておくと、「天国のホームズ」はほとんど原作のまま。「アダムの失踪」は大きくアレンジされています)
ちなみに、ふたつの小咄はそれぞれの本の28ページに掲載されています。何という偶然。




(ついでに、杉戸一郎編『えれがんと えろざんす』六興出版部(58)の書影もアップしました)
フランス小咄集については、きっちりと整理しないといけないとは思いつつも、なかなか手がつけられずにいます。だいたい、自分の蔵書すら把握できておらず……(苦笑)。
反省。