神戸文学館で開催されるSF企画展の正式名称が「SF幼年期と神戸」に決まったようです。
SF幼年期と神戸ですか……。
つらつらと想いを巡らせていて、ふとSF同人誌「パラノイア」のことを思い出しました。(編集:田路昭、発行:パラ・クラブ)
神戸のSF同人誌と言えば、何と言っても筒井康隆が家族と発行していた「NULL」が有名です。1960年に創刊され、1964年までに計11冊が刊行されています。――あ、いやしかし、いま「NULL」の奥付を確認してみましたら、発行所は「大阪」なんですね(苦笑)。
「パラノイア」の創刊は「NULL」より1年遅れて1961年です。「NULL」が大阪のSF同人誌となれば、神戸初のSF同人誌は「パラノイア」となります。
私が所有しているのは3冊――第7号(1965・7)、第8号(1966・3)、第9号(1970・2)だけです。とりあえずは、その3冊の書影をアップします。

写真を見るだけでも豪華さがおわかりいただけると思いますが、それよりも豪華なのは寄稿者の顔ぶれです。
所有している3冊のなかで最も豪華と思われる第7号の目次を紹介します。

さらに、お便りコーナーには、星新一、柴野拓美、宮崎惇、大伴昌司、伊藤典夫といった面々のお便りが掲載されています(ついでに書いておくと、第8号では、石原藤夫、今日泊亜蘭らの名も……)。いやはや、とんでもない同人誌ですね。
この第7号の表紙には“一周年記念特別号”とあって、「え? 創刊が1961年で、第7号の発行は1965年なのに、なぜ1周年?」と疑問を持ちますが、田路昭「パラノイア二歳」に「パラノイアは、ぼくの個人誌だった期間をふくめれば四年有余の歴史をもち、ヌルが消えたいまでは宇宙塵に次ぐ古顔だが、同人誌としてはちょうど一年目である」と書かれていて、なるほどと納得します。

第8号から4年を経て発行された第9号は復刊号となっています(10号以降が発行されたか不明)。
「パラノイア」には後継誌「SFストーリイ」があります。私が所有しているのは創刊号(1971・6)のみで、2号以降が発行されたかは不明。こちらも豪華でして、眉村卓や堀晃が寄稿しています。
このあたりのことは堀晃さんが詳しそうですね。何かフォローいただければ嬉しいです。
【追記】3月26日
雫石さんのブログに「SF幼年期と神戸」の概要が書かれていました。→
ここ 神戸文学館のHPを見に行きましたら、西秋生(文学館で講演予定)の紹介がありました。しかし、
>「 ハイカラ神戸幻視行 」 の著者は 「 SF 」のファンでもあります。
これ、どうなんでしょ。確かにそうなんですけれど、ものすごい違和感を覚えます。