たまに、【追記】という形で過去の記事を補足することがあります。先ほど、7月22日の記事
『怪奇日蝕』に【追記】を書きました。こういう場合、いちいちお知らせしていないのですが、今回、古本マニアの方々のために、ここに書いておくことにしました。
あ、ショートショートとは関係ありませんし、健全な読者の方々には全く興味がないような補足です(笑)。
さて、本題です。

『
Twitter小説集 140字の物語』ディスカバー・トゥエンティワン(09)を買いました。
Twitterというものが流行っていることは知っています。ブログの一種ですが、最大でも140字しか発信できず、その手軽さがウケているとのこと。
私はTwitter自体にはあまり興味はなく、今のところ参加するつもりはありませんけれど、140字以内で書かれた小説となりますと、がぜん興味が湧きます。――140字で小説なんて書けるのかなあ。
私自身、短い小説をたくさん書いてきまして、なかには140字以内の作品もありますけれど、それらはあくまでも偶発的な産物であって、140字以内という制限で書いたものではありません。
この本の存在を知り、まず思い出したのは、川又千秋が提唱し、実践を続けている〈ワンショット・ノベル(三百字小説)〉でした。
以下、『ショートショートの世界』から引用します(108~110ページ)。
スティーヴ・モス/ジョン・M・ダニエル編、浅倉久志選訳『極短小説』(新潮文庫04)は、アメリカで行なわれたコンテストの傑作集です。その名の通り、五十五語以内(翻訳では二百字以内)で書かれた短い小説ばかりが収められています。

浅倉久志の「訳者あとがき」によると、一九八七年、アメリカの週刊新聞「ニュー・タイムズ」の編集者スティーヴ・モスによって始められ、年に一回の募集で、現在も続けられているとのことです。
帯の惹句には“ショートショートショート”“世界でもっとも短い小説集”と書かれています。ここまで短くなると、ショートショートというよりジョークに近いような気もしますが……。
「定義」を述べた際にも少し触れた〈ワンショット・ノベル(三百字小説)〉は、川又千秋がこの本に刺激を受けて開始した試みです。『三百字小説』(前出)の「前口上」で、編著者である川又千秋は「日本語の二〇〇文字は、思いのほか窮屈。作品が、どうしても小咄というか、パーティ・ジョーク風になってしまう。/そこで、二五〇、三〇〇、四〇〇文字……など、レギュレーションを変えながら試作を続けた結果、落ち着いた文字数が三〇〇文字。このサイズだと、さほど無理せず、ある程度、小説らしい描写も交えてアイデアを咀嚼できることがわかってきたのだ」と述べています。二百字と三百字では、百字しか違わないのですが、しかし見方を変えれば一・五倍の長さでもあります。この差は大きいようで、確かに川又千秋の言う通り、「小説」になっています。
はっきり言って、300字でもかなり厳しいです。その半分以下の140字となると、もはや小説としての体をなす作品を書くのは至難の業ではないかと思いますが、ともあれ読んでみることにしました。
う~~~ん、何と言いましょうか、物語の断片? 断想? スケッチ? アイデア・メモ?
発想が面白く、楽しめる作品もありますけれど、これを小説と認めるのは、私には抵抗がありますねえ。
アイデアを小説にするには、それにふさわしい枚数が必要だと思います。
140字以内で書くのがふさわしいアイデアならば、それもオーケー。でも、どうしてこのアイデアを140字で書いちゃうかなあ。もったいないなあ。字数制限がなければ、もっと面白くなるのに……。
そんなことを思った作品が多数ありました。ことに円城塔作品は、本当に惜しいと思います。
というわけで、Twitter小説、試みとしては面白いと思うんですが、いささか無理があるような……。
小説と思わなければ、好きです。
川又千秋編著の〈ワンショット・ノベル(三百字小説)〉アンソロジーは、以下の2冊があります。『
Twitter小説集 140字の物語』と読み比べてみるのも面白いでしょう。
『三百字小説』嶋中書店(04)
『
三百字小説大展覧会 きょとん!』文源庫(06)

ちなみに――
私は4月8日の記事
「一文物語」で一行ショートショートを、さらにコメントでも「予知能力」なる小品を披露しました。これらももちろん140字以内ですが、Twitter小説とは根本的に違うような気がします。